報告 重野亜久里(第3回医療通訳を考える全国会議担当)
全国会議の素案をつくるため5月よりSkype会議を多文化共生センターきょうととMICかながわで実施してきました。これまで多文化共生センターきょうとはどちらかという異分野や異業種の方との連携や協働が多かったのですが、、、、
近い活動をしているNPOとの連携は実は始めてな気がします!!!
近い活動していても、事業の進め方や組織のあり方、意思決定など、以外と異文化な部分も多いなあと感じることがあり、新鮮な学びがたくさんありました。
Skypeでの会議はまだまだつづく!!
個性的な面子があつまり激論続く!!!
全国会議とは少し雰囲気が違い、Skype会議では熱い議論がおこなわれています。端から見ているとけんか??バトル??というような雰囲気さえ漂う会議とのこと(同居団体さんから言われました・・・)
しかし、こんな熱い会議ができるなんてなかなかありませんよね〜〜
それぞれの医療通訳への思い、プロ意識があるからこそ熱い会議になると思っています。
基準のこれから まとめることの難しさ
全国会議でまとまった素案を如何にまとめるかまだまだ熱い議論は続いています。10月の中旬を目処にまとめる予定ではありますが!!
全国会議に参加したすべての団体の意見をどこまで反映できるのか、そしていかに自分の美意識やこだわりを捨て、よりよい基準をつくりあげるか?
ここが正念場であると思います。全国会議感じた、現場をもっているもののあの共感性をこの基準に少しでも埋め込めればと思っています。
「わたし」の基準を「わたしたち」の基準に昇華させる難しさと楽しさを感じながら最終的な素案づくりをしていきたいと思います。後少し、まとめるという実は一番難しい
山を今上っている?ところです。あともう一息多文化もMICも頑張ります!!
全国実践者会議 (11:00〜12:30 15:30〜17:00) | |
午前:ホール
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医療通訳者には何が必要か? 「基準」について、通訳者を養成し、派遣している実践者 の視点から議論します。実践者会議では、多言語 社会リソ ースかながわ及び多文化共生センターきょうと協働のプロ ジェクトチームにより作成した、現場の視点から医療通訳 基準の「素案」をもとに全国各地の 医療通訳派遣・養成を している団体・医療機関の実践者が集い協議検討を行い、 それぞれの地域で活用できる共通基準案の作成をめざしま した。 |
参加団体 |
・IMEDIATA、りんくう総合医療センター ・NPO法人 エスニコ ・NPO法人 国際ボランティアセンター山形 ・医療通訳士協議会 ・NPO法人 多言語社会リソースかながわ ・NPO法人 多言語センターFACIL ・NPO法人 多文化共生センターきょうと ・財団法人 宮城県国際交流協会 ・財団法人 鳥取県国際交流財団 ・みのお外国人医療サポートネット ・NPO法人 伊賀の伝丸 |
全国各地から医療通訳派遣・養成に取り組む11団体が集まり、素案について議論をすすめました。限られた時間ではありましたが、それぞれの団体の経験ふまえたコ メントやご意見を沢山いただきました。
素案の必要性
基準の必要性、ありかたについても、いろいろなご意見をいただきました。これからの育成や現在の通訳者のスキルアップのための1つの指針があると嬉しいというご意見や、手話通訳しや医師の意見も反映した方がいい、このようなきびしい基準を設けると逆に通訳にいってもらえなくなる最低ラインの基準だけでいいのではというご意見もいただきました。どのご意見も通訳を派遣している患者と医療現場が見えているからこそのご意見であると思います。
各論
知識、技術、倫理という各論の議論では、それぞれ活動地域や年数などは異なるものの、共通した部分や共感できるご意見が多く、違いよりもむしろ共通点を沢山発見し、これでよかったんだなという自信にもつながりました。
知識、技術では分類や項目等についていろいろなご意見をいただきました、ああその通り、その視点も必要だなというご意見も沢山いただきました!
倫理はあまり議論を煮詰める時間がなかったこともあり、項目設定や内容など皆さんから意見をいただきました。看護師や医師の倫理を参考にしたらというアドバイスなどもいただき、現在医療従事者の倫理要綱などをもとに作成を進めています。
なお会議当日の詳細につきましては現在報告書をまとめています。
11月中旬発行予定です。報告書ではその後議論もある程度まとめて報告したいと思っております。(重野)
医療観光の各国の取り組み |
「タイの医療事情とメディカルツーリズム」 Bangkok hospital medical Center JMS (Japanese Medical Service)Marketing manager 田中耕太郎さん |
当日はカンボジアからの国際電話を使って発表していただきました。バンコク病院での医療サービスについてご発表いただきました。バンコクでは日本人の利用については、在タイの日本人が多く、アラブ諸国は医療目的の渡航で利用される方が多いとのこと。 |
「韓国の医療通訳とメディカルトラベル」通訳者 LEE JUNG NAMさん |
2月の多言語医療支援でもご発表いただきました韓国の李さんに、その後の韓国の医療観光についてご発表いただきました。
でした |
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「メディカルツーリズム」 徳島健康・医療(糖尿)クラスター形成 濱尾 重忠さん 財団法人 とくしま産業振興機構 知的クラスター本部 事業総括 |
徳島県の糖尿病検診の事例をご紹介いただきました。試験的な取り組みということで、メディアでも大変注目されています。 実際に中国からも次回開催の催促が来ていると 聞いています。検診においては留学生の通訳を活用したというお話をされていましたが、通訳者の研修や質の担保についていくつか今後の課題があるのかな感じました |
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医療観光と医療通訳のゆくえ |
パネリスト 岩本 弥生さん 高嶋愛里さん 坪田 由紀子さん 西山 利正さん 濱尾 重忠さん |
当日は前半の発表が全体的に伸びてしまったため
議論する時間があまりありませんでした。 |
今話題になっている医療観光(メディカルツーリズム)を今回はチャレンジとして取り上げました。当初は国の担当官に来てもらって・・・その方向性を議論したいという野望をもっていましたが、なかなかNPOの主催する会には来てもらえませんでした・・・
そこで企画を大きく変更せざるを得ず、タイや韓国のアジアの取り組みと今後の医療通訳者のゆくえと題してフォーラムを開催しました。
ビジネスとしての医療観光の医療通訳、そして支援として医療通訳何が違うのか?通訳という行為は近いがとても遠いところにある2つの通訳・・
フォーラムを終えての正直な感想はまだまだメディカルツーリズムの医療通訳者については
議論するまでの形がないということ。タイや韓国との比較はできるとは思いますが、まだ日本の医療観光における医療通訳者について議論するのは時期尚早と感じました。しかし会場からはビジネス、職業としての可能性に対して期待に満ちた空気と、通訳をビジネス行為、金儲けと見ることへの批判の空気も同時に強く感じました。
9月初旬にタイ医療やバンコク病院のメディカルツーリズムを見学し、貧しいものはレベルの低い医療を受けざるを得ず、お金のある者に高度な医療を受けられるという現状を見て、医療に格差が生まれていることに、衝撃を憶えました。
正直日本のメディカルツーリズムが日本国内において、タイと同様の状況に向かうきっかけになるかはわかりません。※正直そこまで懸念すべきなのかという思いも少々あります(成功しないのではいう意味で)
貧しい、お金持ちに関わらず、誰もが平等に医療を受ける権利、通訳者を利用できる権利がありその制度としてその環境を整備できるかが議論されなくてはいかないのでは・・と感じています。(お金があるから蔑視される、お金がないから無視されるどちらも×です)
ですからお金持ちだけが通訳を使えるのではなく、必要する人がだれでも通訳をつかえる環境を目指さなくてはと思っています。
これまでの日本の医療制度では外国人の患者さんは排除されてきました。医療通訳という存在が注目されサービスとして導入されるようになり、定住の外国人もそのサービスを同様利用できるようになれば・・・・
これは勝手な夢なのでしょうか・・・
外国人医療においては、現状よりずっといいのではないかと思うこのごろです。
お金をもらう通訳者は悪、そうでない通訳者は善という白黒の議論で終わらせてはいけないのではないのではと感じます。
全国の医療通訳にかかわる実践者たちが交流したり、互いの思い・悩みを共有することで新たなつながりを創る場になりました。
「相談する」 通訳派遣事業運営・通訳育成について |
担当:重野亜久里(多文化共生センターきょうと) |
「交流する・つながる」 通訳者向け交流ブース |
ファシリテーター 佐藤ペティー(中国語医療通訳スタッフ MICかながわ) 三浦 遼 (英語医療通訳スタッフ MICかながわ) 岩本 弥生 (コーディネーター兼ポルガル語医療通訳スタッフ MICかながわ) |
「相談する」 個別相談(守秘義務を守って相談対応いたします) |
○○な時はどうすれば・・・そんな相談に対応します 担当:鶴田光子(ソーシャルワーカー MICかながわ) 高嶋愛里(看護師、通訳コーディネイター多文化共生きょうと) |
「相談する・つながる」 通訳基準について |
担当:西村明夫 (プログラム・アドバイザー MICかながわ) 森田直美 (英語医療通訳スタッフ MICかながわ) |
当日の感想
今回はいろいろな課題をそれぞれ方がブースに来てくださいました。私は通訳者派遣事業運営・通訳育成ブースを担当いたしました。
ブースでは複数の方が同時に情報交換や議論をすることができブースを訪れた人同士の交流もできたようです。こうして担当者が顔を突き合わせて情報交換や事例共有などを行うことはとても有意義であると思いました。
また実際にこれからの事業展開や事業実施に当たって出てきた具体的なケースについての相談などもありましたが、それぞれの地域でそれぞれの環境中で奮闘されていると感じました。
各ご相談に関しては、多文化共生センターが7年の派遣で蓄積してきた苦労や経験を話させていただきましたが、これから始められる人たちや団体の少しでもお役にたてられたら嬉しいです(重野)