ぷち通訳For Nurse


前回ニュースレターでは、そろそろ公開!?の予定でしたが、用例の作成、選択に時間がかかっています。

このアプリを作るために、初めに複数の看護師の方たちから普段、自分たちが話している説明、会話をすべて出していただき、それらの言葉を「あいさつ」「アナムネ」「クリティカルパス」など、カテゴリに分け、似ている用例は1つにしたり、言葉の言い回しの統一するなど、整理しました。

どうしたら患者、看護師双方にとって使いやすいものになるかエクセルとにらめっこをしながら作っています。ちょっと地味な作業が続いていますが、その中から看護師と言う業務、患者という立ち位置が見えてきて、興味深いです。

 

・用例の多様さ+表現の表現の多様さ

看護師の業務は、「おはようございます。今日はどうしましたか?」から始まり、処置・検査・入院生活・会計・退院など、患者さんと病院が関わる全てに関わります。業務の幅が広ければ、話す言葉も多様になります。

これに加え、看護・ケアの分野には「どれだけマニュアル化せずに患者さんと話すか」という軸もあり、声かけ1つをとっても、「こういうときはこう言う」というマニュアルがあるわけではなく、看護師一人ひとりで異なる話し方をします。その結果、今回のように複数の看護師さんから日々話している言葉(用例)を収集すると、「同じことを言っている!!」という用例が看護師さんの数だけ出てきてしまいます。それらの用例の中で、どの言い方が分かりやすいのか、どの用例を選んでこのアプリに入れるのか、取捨選択は続きます・・・

 

・日本語表示用例と翻訳用例

みなさんは下の用例でいくつ理解できますか??

 

1. 「SPO2を測ります。」

2. 「痛くなったらPCAを一回押してください。」

 

用例を整理していると、看護師によく伝わる言葉、患者によく伝わる言葉、

患者にも看護師にもよく伝わる言葉、の3つが出てきます。

 

1. 「SPO2を測ります。」

例えばSPO2。SPO2とは酸素飽和度のことで身体の中の酸素量のことですが、

その検査をする看護師とっては、「身体の中の酸素量」や「酸素飽和度」より、「SPO2」の方が、ピンとくるそうです。

 

ただ、もちろん患者さんには分かりません。

 

そのため、看護師側の日本語表示画面は「SPO2を測ります。」、

患者さんが見る翻訳原稿は「身体の中の酸素量を測ります。」としました。

 

2. 「痛くなったらPCAを一回押してください。」

PCAとは、患者管理鎮痛法のことです。

PCAのボタンを押すと、そこから鎮痛剤が出てきて、患者さんの痛みを和らげるそうです。

用例収集に協力をいただいていた看護師さんも「PCA知らない!」という方がいたくらい、看護師の中でもなじみのない単語ですが、この治療を行っている患者にとっては、ごく普通の単語であったりします。

 

PCAという単語がどれだけ特殊な単語であったとしても、伝えなければいけない患者にとっては特集ではない単語もあります。そんな用例は、翻訳原稿も「痛くなったらPCAを一回押してください。」としました。

 

こんな作業を繰り返し、7月末~8月ごろには公開できたら・・・と思っています。

 

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