市立病院(中)通訳派遣日火・金に拡大されます!
近年、京都市立病院を受診される中国語通訳者利用件数が増加傾向あるため、2012年9月からこれまでの毎週金曜日の派遣から、毎週火曜日・金曜日に拡大されます。
市立病院の他の言語、他の3病院は変わらず、これまでの体制で頑張ります。
24年度4月~6月の実績
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4月 |
5 月 |
6月 |
合計 |
医仁会病院 |
113 |
(1)82 |
94 |
289 |
市立病院 |
[1] (3)22 |
(1)17 |
(1)25 |
64 |
桂病院 |
0 |
(2)2 |
(2)4 |
6 |
康生会病院 |
0 |
2 |
1 |
3 |
合計 |
135 |
103 |
124 |
362 |
*()中の数字は英語です。[ ]中の数字は英、中以外の言語です。
通訳依頼、派遣など順調に行っています。
昨年まで、2名だったコーディネイターを4月から5名に増やし、毎月二人体制で交代で、通訳派遣病院に通訳業務の確認、病院コーディネイターとの連絡調整、出勤状況の確認などの事務作業などを行っています。
また、診察室の通訳場面などに通訳者・患者さんと一緒に入り、病院スタッフの通訳利用状況の確認などを行い、通訳者にとっては通訳しやすく、患者・医療者にとっては利用しやすい、医療通訳の環境整備を行っています。
文責:胡・前田
今年度も「ことさぽ」ちょこちょこ動いています。
早速実績を報告させていただきます。
2012年4月からの依頼: 英語 2件 中国語 2件
依頼件数から見るとたくさんではありませんが、内容(依頼者の属性)から見ると、「ことさぽ」という事業が少しずつ広がっていると感じます。
依頼者の特徴としては、主に京都市内をのぞく関西圏のさまざまな地域に住んでいる方であること、この事業をすでに知っている方からの紹介ではなく、自ら探してくることがあります。多文化のweb siteを見て、依頼される方もいらっしゃいます。
ネットは世界中に見られるものですので、利用される方は日本にいても、京都から通訳者が行くと、交通費や通訳費用全体的にも上がることになり、利用者の負担を増加してしまうご依頼もあります。そのような時は利用者に近い団体に、派遣をお願いできないかという交渉を行ったり、他団体とも協力してサービスを提供しています。
また、そのような団体がない地域からのご依頼には、ビデオ通話ができる端末を貸し出して、対応を行っています。(下記「youtranを使った遠隔通訳」を参照ください)
このように、派遣を重ねるにつれ、少しずつ事業としての幅や安定感や派遣までのスピード感も出てきていると感じていますが、実績と共に問題も次々ついてきます。
先日字が読めない、ファックスもメールも持ってない患者さんから、通訳派遣のご依頼をいただきました。ご連絡いただいた日から2日後の派遣を希望され、派遣までの時間が非常に短かった事もあり、派遣する前の契約書等の書類のやり取り、料金のお振込などをお願いしたのですが、できませんでした。なんとか通訳者の派遣は行いましたが、このような患者さんからのご依頼は必ずまたあると思いますので、対策を考えないといけないところです。
文責:胡・前田
・多文化が多言語で依頼受けれても、依頼者は通訳を迎える準備ができない、振り込めない
6月、京都市内から片道3時間以上かかる医療機関への医療通訳の派遣の依頼がありました。その町の近くに通訳者はおらず、京都から派遣すると、交通費・通訳料金がかなり高額になってしまうことから、ビデオ通訳システムYoutranを医療機関と通訳者へ貸し出すという対応を行いました。
YoutranはiOs(iPhone, iPadなど)で利用できるビデオ通訳システムで、無線LANの環境があれば利用できます。まだ開発途中のシステムのため、今回は無料で機材とシステムの貸し出しを行いました。
利用後のアンケートでは、利用した医師からは「とても操作がしやすかった」「とても役に立ったので、機会があればまた使ってみたい」、通訳者からは「通訳者三塚らが出向かずとも意思疎通が図れるので非常にありがたかった」というコメントをいただきました。
また、このシステムはインターネット回線を利用するため、音質、画質ともクリアだったようです。
「移動中に切れやすい」という評価もいただいたのですが、利用者が移動しながら利用することを想定した携帯電話と異なり、無線LANは利用者が移動しながら利用することを想定していません。そのため、移動すると、通信状況は悪くなることは電波の性質上、どうしようもありません。
「システムは何でもできる。」と、つい思いがちですが、人間より優れた機械はありません。システムや通信状況の問題がおこらない範囲で利用できる利用方法、環境を人がナビゲートしていくことで、今回のように人の力だけではできない範囲のサポートができていけば、と思います。
文責:前田
2000年後半頃から、全国各地で医療通訳への注目が集まるようになり、通訳者の養成、派遣システムの構築が行われています。
たくさんの通訳の方が医療通訳について熱心に勉強し、自治体・国際交流協会・NPOなども派遣の仕組みを作り、医療分野での言葉の支援に取り組んでいます。ただ、派遣団体からは、派遣件数が伸びない、という相談も受けた事もこれまで何度かありました。
先日、ある患者さんから通訳派遣をしてほしい、というお問い合わせがありました。患者さんのお話を聞くと、派遣してほしい医療機関がある町は、調べると京都から少し距離があり、医療通訳者の研修・派遣を無料で行っている組織がある所でした。そのため、そちらから派遣した方が患者さんにとってもいいのではないかと思い、センターから問い合わせました。
状況を担当者の方にお伝えし、担当者の方と「上の」方など、組織内で協議していただいた結果、患者さんの診療科が特殊、派遣予約は受診日の10日前までということで、対応できないというお返事でした。
患者さんの受診科は専門外来、高度医療ではありません。受診日も多少は調整可能であった件だと思います。
結局、センターのことさぽ事業で対応し、その後も継続的にご利用いただいてます。
人の命に関わる通訳である以上、医療通訳はむやみやたらに対応するべきではない、と思いますが、「派遣件数が伸びない」という悩みの原因が少し見えたような一件でした。
文責:前田