台中市にある外国人患者への医療サービスの提供する国際医療サービスセンター(International Patient Center) を持つ大里仁愛病院を訪問しました。大里仁愛病院は台湾で初めて外国人患者に向けて医療サービス部門を設立した病院です。外国人患者の受け入れに際し、英語・日本語での通訳サービスを提供しています。
沿革
大里仁愛病院は、1945年中国瀋陽市に創立、1947年に台湾に移転、1992年には台湾初の私立総合病院になり、現在は大里と台中の2カ所で地域の中核病院として地域医療に取り組んでいる病院である。
大里仁愛病院の理事長が広島大学の卒業生であること、また理事長の奥さんが日本生まれということで日本に対して思い入れが深いいため、日本語、英語での無償通訳サービスを社会サービスの一環として提供している。
・病床:700床
・外来患者数:1日平均来院数:外来約1600、救急約140
・職員数:看護師:430人 医師:100名
・診療科:52
・得意分野:心臓血管外科、脊椎整形科(海外からの治療目的の患者もある)
・中国語/英語の通訳サービスを提供
大里仁愛病院では、2009年から英語、日本語医療通訳者を病院職員として雇用しており、外国人の利用患者に対して通訳サービスを無償で提供している。利用者は在台の駐在員などが多く旅行者は少ない。診療のほか、健診での利用も多い。(台湾で長期ビザを取得するには外国人は健康診断を受ける事が義務づけられているため)病院スタッフは日本語を話せる人が少ないため、日本語通訳者は英語より需要は高いという。
患者を待たせない工夫
基本的には日本同様に予約優先であるが、大里病院では患者を長く待たせないように、さまざまな工夫をしている。大里病院では患者に利用パスワードを提供し、インターネットを介して患者に現在の受診の進捗情報を提供している。患者は自宅で担当医の診察状況を確認することができるため、自分の診察のタイミングを計って来院し、診察を受けることができる。
初診患者や飛び込み患者に対しては事前に初診患者専用番号、通訳利用患者専用番号、転院患者専用番号を決め、常にその番号には予約患者を入れないようにし、来院があった際にその番号に患者を入れる仕組みをとっている。こうすることで初診の患者の待ち時間を大幅に短くすることができる。台湾(台中)では待ち時間は約30分程度で、それ以上待たされると怒って帰ってしまう患者もいるという。
大里病院では、こうした工夫をしているためか、外国人患者が利用が多くても台湾人患者から外国人を優先して受け入れているのではないかという苦情もほとんどないという。