共著「災害医療とIT」 発刊!

災害医療とIT 定価 2100円 8月1日発刊 (共著)

 

「ITを活用した医療活動」で、センターの開発している多言語医療支援システムについて、執筆しました。東日本大震災から1年半、ICTを利用した災害医療の事例を紹介しています。詳細

 

*** 本書では、災害医療におけるICTの有効性に焦点をあて、被災地で活動経験を有する先生方を中心に、興味深い事例を集めた。災害に強靭な医療提供体制を構 築するために、今後どのようなことを考え、具体化していくべきか、本書がそれを考える一助となれば幸いである。(巻頭言より)


 東日本大震災発生時、水・ガス・通信といったインフラは全て断絶し、過去の災害時と同様に情報の断絶から、物資・人の偏りがあった、と言われています。

 しかし、その後通信網がある程度回復すると、ICTの進歩により、医療分野の支援は大きく変わった、とも言われています。その鍵となったのが、「クラウド」「タブレット端末」「SNS」でした。

 カルテの電子化だけでなく、クラウド化することにより、かかりつけの病院が全て流されてしまっても、他の病院のサーバに残っていたバックアップにより受診が続けられた事例、医療者が交代で患者の診察・治療を行っていく災害時において、タブレット端末を利用して情報共有や引き継ぎを行った事例、SNSを利用した相談や心のケアなどの患者支援の事例を紹介しています。

 センターが執筆した「ITを活用した医療活動」では、災害時における言葉の支援として東日本大震災発生時に公開した、モバイル版「多言語医療問診システムM3」を中心に紹介しています。

 電気がなかったら、通信がなかったら、「全く使えない」といわれてしまうICTですが、電気や通信がない状況は、復興までのスパンで考えると、ほんの一瞬でしかありません。

 長い復興をどう支えていくかを考えた時、ICTが役にたつのではないか、災害に備えた取り組みが、平時の救急医療にも役立つのではないか、という事例の詰まった1冊です。

 

文責:前田